人中心の会社づくりと新たな挑戦。オールフロンティアの人事制度改革と多角化経営の裏側。

会社名
株式会社オールフロンティア 様
URL
https://all-frontier.jp
業種分類
卸売・小売/その他
従業員数
201名~350名
導入目的
人事評価制度の構築・見直し
サービス
人事制度構築コンサルティング
  • 評価制度が導入から10年経ち、現代の考え方に合わなくなっていた。
  • 目標設定が会社から与えられるもので、自ら設定する機会がなかったため、自己の自律性や自発性が弱まっていた。
  • 昇格が停滞していたため、社員の不満が高まっていた。
  • 幅広い人材が活躍するための柔軟性のある制度を作ったことで、社員の多様な価値観にも対応できるようになった。
  • 上司との面談を通じて、個人の成長とミッションに基づいた目標設定ができるようになり、会社からの期待を個人が明確に把握できるようになった。
  • 昇格や降格の基準や方針が明確になり、次のステップに進むための具体的な行動が明瞭になった。

担当コンサルタント紹介

オールフロンティア様は、自動車関連事業、建築資材事業、教育事業、ホテルサービス事業の5つの事業を束ねる企業グループです。まず、オールフロンティア様が大切にされていることを教えてください。

弊社では人の成長を大切にしています。私たちは人中心の会社づくりを掲げ、社員を中心に事業を発展させています。その結果、社員の成長や市場価値の向上、そしてキャリアアップに繋がると考えています。

平林社長はどのような方ですか?

平林社長は、自分の会社に対して非常に真面目で、愚直に社業の発展を目指しています。また、社員の意見を大切にし、どうしたいかをしっかりと聞いて尊重されています。できあがった人事評価項目には、社員に対する平林社長の深い想いが表れています。このような想いのもと、今回の人事制度構築プロジェクトも社員中心に進めてきました。

さらに、社長はバランス感覚に長けており、若手社員の主体性を育むためにフロントに立ちすぎず、影で支えてくれるような存在です。マネージャーが決めることを後押しする雰囲気を作り上げており、そこが人中心の会社に繋がっていると感じています。

御社は多角化経営をされていますが、どのような変遷で現在の5事業を展開されているのでしょうか?

基本的にはランチェスター戦略を取っています。ジャンルが違う業界に展開する理由については、新卒社員に活躍できるフィールドを広げたいという思いがあります。だからこそ、リユースという仕組みから、中古車業界から建築業界に横展開しました。ホテル業界への進出も、社員の希望に応じて広がったものです。教育業界への進出も、特定の社員の才能を伸ばすための支援として実現しました。

髙野様(観光おもてなし事業部事業部長 兼 教育事業部事業部長 兼 本社管理部人事総務課課長)

今回、どのような背景で人事制度を見直すことになったのかを教えてください。

評価制度を導入してから10年が経ちましたが、今の時代には合わなくなっていました。事業部長から評価制度見直しのオーダーがありましたが、全員がプロパー社員であるため、見直しは困難でした。また、自分たちの処遇を自分たちで決めてほしいという社長の意向もあり、プロジェクトが発足しました。今回のプロジェクトでは、プロパー社員の意見を適宜聞きながら進めることができたので良かったと思います。

このプロジェクトを開始したのは2023年でした。その当時、人事に関して直面していた最大の課題は何でしたか?

3点あります。
1点目は、それまでの制度は評価制度というよりもトレーニング志向だったことです。自ら目標を設定する機会がなく、会社から与えられた目標を目指すだけだったため、自己の自律性や自発性が弱まっていました。
2点目は、業績がコロナ禍で停滞しており、その業績との連動性を確保する必要がありました。
3点目は、昇格や降格に関するルールが非常に厳格であり、昇格が停滞していたため、社員の不満が高まっていました。

実際にどのような人事制度に見直したのでしょうか。また、今回見直した中で、革新的な部分はありますか?

まず、上司との面談を通じて、自分自身の成長と与えられたミッションに基づいて半期ごとの目標を設定できるようにしました。そうすることで、会社からの期待を個人が明確に把握できるようになりました。また、会社の成長と事業の成長を密接に結び付けることができるようになりました。そして、昇格や降格の基準や方針が明確になり、次のステップに進むための具体的な行動が明瞭になったことで、非常に期待の持てる人事制度となりました。

廣田様(本社企画開発部部長)

今回の人事制度の見直しが業績や社員のモチベーションにどのような影響を与えると思いますか?また、人事制度見直しについてどのような成果実感がありますか?

社員に対して定量目標を設定することが大きな印象を与えたと思います。また、自ら組織目標と個人目標を立案し、それが評価に反映されることで、モチベーションが高まるという声が挙がっています。
また、賃金モデルを明確にすることで、具体的なキャリアパスが明確になり、社員が活躍できる範囲が広がったことで、この制度に対する期待感が高まっています。

今回の見直しで大変だったことはどのようなことですか?

賃金レンジを決めることの難しさです。経営者としては投資でもあり、人件費負担として利益にも影響する重要な要素です。そのため、複数のシミュレーションを行ったり、異なる案を提案したりすることが大変でした。

いくつかのコンサル会社を見て日本経営を選んでいただいたかと存じますが、その経緯や決め手を教えてください。

正直に言うと、フィーリングです。どこの会社かということよりも、担当してくれる方がどのような方なのかを重視しました。他社の担当者と接している中で、どこかパッケージ化されていたり、軽い印象を受けたりしたことがありました。日本経営の波多野さんや中道さんは社長や事務局メンバーとの議論や深い思考についていけると感じましたし、一緒に汗をかいて真剣に取り組んでくれるのではないかという印象がありました。決まったセリフを言える方は多いですが、臨機応変に対応してくれるか、泥臭い事を一緒にしてくれるかがコンサルティング会社を選ぶうえで一番大事だと思います。おふたりは根気強く、臨機応変に対応してくれる姿勢がありましたし、企業が抱える具体的な課題や特性を理解して、泥臭いことも一緒に伴奏してくれるような人柄でした。

弊社のコンサルティングの進め方はいかがでしたか。

基本的なプロジェクトの進め方は丁寧で、認識に齟齬がなくスムーズに進めることができました。定期的な認識合わせや柔軟な対応、長時間の電話や変則的な動きにも臨機応変に対応していただけて良かったです。
また、弊社が最も重視していた賃金制度設計を検討する際、給与の統計データ抽出一つとっても、一般的な抽出の仕方ではなく、多面的な切り口から情報を取得し、自社の事業に最適な設計を提案いただけました。

日本経営に対する期待と実際に得られた効果について教えてください。期待以上の成果があった部分はありますか?

コミュニケーションを重視し、じっくりと膝を突き合わせて社長、事務局、各事業部長との対話を進めることができました。

平林社長は今回の新制度をどのように捉えていますか?

平林社長は非常に満足しています。笑顔で「日本経営さんにお願いして良かったです」とお話しされていて、満足感が伝わってきました。社長は内容に納得していないとGOサインを出さない方ですので、リリースすることができたということは、新制度が形を成した証だと考えています。実際に、半年前に退職を検討している社員が、「会社の変化を見ることができてうれしい」と今後の会社に期待する言葉を口にしていて、前向きな変化が見れたことがとても嬉しかったです。
新制度が社員の前向きな期待を引き出し、それによって向上心が高まり行動が変わることで、会社の業績向上に寄与する流れが作れると考えています。また、社員の多様な価値観に対応し、ハングリーにチャレンジしたい人が積極的に活躍できる制度になったと思います。

これからどのように事業展開をされる予定でしょうか。

人が活性化しないと、会社は成長しないし、業績も成長しないと考えています。現在、事業は安定しており、安全な組織である一方で、停滞している側面も認識しています。そのため、大きな活性化をもたらす変化を推進していくことが目標です。
コロナ禍や市場環境の変化により、新しい取り組みが遅れている現状があります。これまでは守りの経営をしてきた部分もあったため、今後は攻めの姿勢を取り戻し、事業の成長とタレント性を活かした成長をしていきたいと考えています。

人事制度を通じて事業を成長させるために、必要なサポートやリソースは何だと思いますか?

人事制度によってキャリアパスが明確になった一方で、「あの人のようにはなれない」「どうやったらあそこまで頑張れるのか」と不安を感じる社員の声があります。この課題に対処するために、育成や教育のシステムを充実させる必要があると考えています。
また、現在の組織図から将来の組織図への移行をどう進めていくか、これからがとても楽しみです。

(取材日:2024年7月17日)

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