「ちゃんと見てるよ 」を仕組みで届ける。急成長企業が人事評価制度で得た気づきと変化

会社名
株式会社バスシステムデザイン研究所 様
URL
https://bsd.ecobath.com/
業種分類
建設・不動産
従業員数
51名~200名
導入目的
評価・集計の負担軽減
評価結果の活用
サービス
人事評価ナビゲーター
  • 組織の急拡大により「ちゃんと見ている」を伝えることが難しくなった
  • Excelでの評価運用に限界があった
  • 多くの評価者が参加できる仕組みによって、客観性が向上
  • 操作がシンプルで、スムーズな社内展開が可能

今回は、浴室リフォームに特化した株式会社バスシステムデザイン研究所の代表取締役である日吉様、経営に携わっている木村様、システム設定を担当されている佐野様にお話を伺いました。

まずは、御社の事業内容や大切にされている理念について教えていただけますか?

日吉様:当社は建設業の中でも「浴室リフォーム」に特化した業務を行っています。一般的な業者はユニットバスの交換が主流ですが、私たちは「交換」ではなく「補修」によって美観を回復させるという、少し珍しい工法でリフォームを行っています。
おそらく一般の方にはまだ広く知られていない分野かと思いますが、20年近くこの手法に取り組んでおり、独自に技術開発を重ねてきました。

会社として大切にしている考え方は、「個人の尊重」と「自由」です。それぞれの個性や考え方を尊重しながら、のびのびと仕事ができる環境を目指しています。もちろん、企業として利益を上げていくことや、お客様に満足していただくことも大切です。そのためにも、私たち自身が常に新しい技術に貪欲でありたいと考えています。

■ 組織の急拡大とともに感じた「ちゃんと見ている」を伝える難しさ

人事評価の運用を始めた背景や、それまでに感じられていた課題について教えてください。

日吉様:コロナ禍前は20名ほどの社員数でしたが、ここ数年で80名近くに増え、組織が急速に拡大しました。少人数のときは、日々のコミュニケーションの中で「この人はこういう人だな」と自然に把握できていましたし、 それを本人に伝えることもできていたと思いますが、人が増えるとそれが難しくなります。いくら「頑張っているね」と言っても、周囲からの評価や仕組みがなければ本人のモチベーションにはつながりにくいと感じていました。「ちゃんと見ているよ」というメッセージを、何らかの形で伝えなければならないと、人が多くなるにつれてそういった思いが強くなりました。

制度導入前は、評価項目に沿った評価はされていなかったのでしょうか?

日吉様:そうですね。もともと私一人で立ち上げた会社ということもあり、形式的な評価制度はなく、日々の会話の中で感じたことを直接伝えるようなスタイルでした。正直に言うと、今でも時間をかけた評価よりも 、日々従業員の皆さんとコミュニケーションを取る中で気づいたことを伝えたり、本人の考えを直接聞いたりする方が良いと感じています。

ただ、実際にはそれを継続するのは難しいですし、マネージャー層にも同じような感覚で伝えてもらえたら理想ですが、 それもなかなか簡単ではありません。 だからこそ、誰が見ても一定の基準で評価できる、客観的な仕組みの必要性を感じました。

制度はどのように、いつ頃作られたのですか?

木村様:システムを導入する1年前に人事コンサルの方を中心に企画を立案してもらい、営業と技術部門の責任者が中心となって評価項目を考えました。その評価制度をExcelで1年間運用していたのですが、集計や運用面で手間がかかるため、御社のシステムを導入することに決めました。

弊社のシステムを選んだ決め手について教えてください。

木村様:私が日吉社長に提案しました決め手は「コスト」と「オーバースペックではない」という点です機能がシンプルで使いやすいだろうと感じたのが一番大きなポイントですね。作った評価項目をそのまま載せるだけで、手間もほとんどかからないだろうと思いました。

日吉様はそのご提案をうけてどのような印象でしたか?

日吉様:まさにその通りだろうなと感じました。また、先ほどもお伝えしたように、私はface to faceのやりとりが一番大事だと思っています。そのため、システムの導入によって現場が混乱してしまっては本末転倒です。 その点で、シンプルで使いやすい「人事評価ナビゲーター」は、当社にはぴったりだと思いました。

導入後、どのような変化がありましたか?

木村様:人事評価ナビゲーターはクラウド型のシステムなので、より多くの人が効率的に評価を実施できるようになりました。以前はExcelで評価を行っていたため、日吉社長と私を含めた4名で対応していましたが、現在はシステムに移行したことで十数名が評価に参加できるようになっています。

また、コメント機能を積極的に活用したいと思い、書かれたコメントをフィードバックする運用にしています。これまで把握しきれなかったことを知るきっかけになると期待しています。まだ運用を始めたばかりなので、実際にどの程度効果があったかはこれから確認していきますが、今後、社内にしっかりと浸透させていきたいと考えています。評価自体も、以前より客観性が高まったと感じています。

日吉様:木村さんも言っていたように、評価は多くの人に関わってもらうほうが良いと感じていました。ただ、Excelでは対応に限界がありました。今回、システムを導入したことでそれが実現できたのは非常に良かったと思います。

システムの設定で苦労したことはありましたか?

佐野様:最初のうちは分からないことも多くありましたが、サポートセンターに問い合わせればすぐに解決できたので、とても助かりました

現場の皆さんのシステム操作に関する反応はいかがでしょうか?

佐野様:最初にIDを送ってパスワードを配布したときに「どうすればいいですか?」というような質問はありましたが、それ以降は操作に関する問い合わせはほとんどなく、スムーズに運用できたと感じています。やはり操作がとてもシンプルなので、システム導入にあたっての苦労はそれほどなかったと思います。

■ 評価制度をはじめて見えたこと

今後、制度や運用でさらに力を入れていきたいことについて教えてください

日吉様:今回、評価制度を本格的に導入してみて「やってよかった」と感じています。ただ、社員がどう受け止めたかについては、まだ明確なフィードバックを得られていないというのが 正直なところです。とはいえ、ネガティブな声が出ていないというのは、ある意味「受け入れられている」という証なのかもしれません。当社は個人を尊重し、意見を言いやすい社風づくりを意識しているので、もし不満があれば自然と声があがると思っています。その意味で、特に不満の声がないというのはポジティブに捉えています。

ただ、今回はまだ1回目の実施。 これから2回、3回と回数を重ねていく中で、「評価とは何か」「自分の仕事とどう関わってくるのか」という実感が社員にも育っていくことを 期待しています。評価制度は、すぐに結果が出るものではなく、継続することが大切です。やり続けることで組織文化の一部になり、本当の意味での「評価」が機能しはじめると思っています。特に前向きな人ほど、「自分をちゃんと見てくれているのか」と不安を感じやすいので、評価の継続はそうした不満の解消にもつながるはずです。

木村様:「サイレントマジョリティ」の話でいえば、僕は2つの視点があると思っています。

1つは、報酬がある程度しっかり上がっていれば、大きな不満は出にくいということ。評価に対する不満が出るのは、評価結果に納得できないか、それが報酬に反映されていないときです。

もう1つは、人事制度って「社員の納得感があるようにして当たり前」と思われがちなんですよね。営業なら成果が出れば「すごい」と言われますが、人事は制度を整えてうまく運用しても、それが当然と見なされることが多い。だからこそ、不満の声がないというのは、ある意味で「しっかり運用できている」という成果の表れかもしれないなと感じています。

■ 見えてきた「改善すべきポイント」とは

実際に制度を運用して見えてきた課題や改善点はありますか?

木村様:大きく3つあります。

まず1つ目はスケジュールのタイトさです。評価が決まってから社員へのフィードバックまでの期間が非常に短く 、現場からも「もう少し余裕がほしい」という声があがっていました。そこは次回以降、しっかり見直していきたいと考えています。

2つ目は評価分布の偏りについてです。今回は5段階評価を行ったのですが、結果としてD評価がやや多くなってしまいました。今回は相対評価を採用したので、D評価でもB評価としてフィードバックしたケースもありましたが、そもそも上司の感覚として「このくらいかな」と思う水準がDに寄っていたのかもしれません。これは評価項目の設計や、上司の評価スキルの面でも振り返りが必要だなと感じています。

3つ目はフィードバックの伝え方 です。今回は初回だったこともあり、評価ランク(S・A・Bなど)はあえて表示せず、コメント中心でフィードバックしました。ただ、次回以降は「どこまで見せるのが適切か」「どのくらい透明化するか」も含めて、検討していきたいと考えています。

■ 若い組織だからこそ、制度が“育つ”余地がある

日吉様:当社は建設業の中でも珍しく、平均年齢が20代後半と非常に若い組織です。その分、制度の成熟度や評価に対する慣れという面では、まだこれから育てていく段階にあると感じています。今回の評価でD評価が多めになったという話もありましたが、急成長してきた背景もあり、上司と部下で感じ方にギャップがあったのかもしれません。上司は30代が中心で、今の組織を土台から支えてきた人たちです。仕組みが整っていなかった頃から現場を回していたので、「今の若手は恵まれているな」と感じる場面もあるのだと思います。

だからこそ、現時点では数字やランクで評価を突きつけるのはまだ早いのでは、と考えています。たとえば、上司の目にはDに見えても、会社としてはBに調整しているケースもある。その一方で、ランクをそのまま伝えれば「なぜ自分はDなんだ?」と不信感につながる可能性もある。評価制度は、あくまで対話のきっかけです。「ちゃんと見てるよ」「ここがよかった」「ここを伸ばしてほしい」といったメッセージを届けるためのツールだと思っています。評価だけに頼るのではなく、日常の声かけや関わりと組み合わせて、制度を少しずつ育てていきたいですね。

引き続き、人事評価ナビゲーターはよりよいサービスを提供できるよう改善を進めてまいります。貴重なお話をありがとうございました!

(取材日)2025/5/8 ※掲載内容は取材当時のものです。

 

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