- 会社名
- 社会福祉法人福祉楽団 様
- URL
- http://www.gakudan.org/
- 業種分類
- 医療・福祉
- 従業員数
- 351名~500名
- 導入目的
- 評価・集計の負担軽減
評価結果の活用 - サービス
- 人事評価ナビゲーター
- 評価シートの配布や集計に時間がかかっていた
- 紙で実施していたため、進捗管理が難しかった
- 簡単な設定で配布や集計ができるため、サポートセンターの業務が楽になった
- 進捗が一目でわかるため、管理しやすい
社会福祉法人福祉楽団様は、3年ほど前に評価制度を刷新されました。まずは、その背景と、新しい評価制度の仕組みを教えていただけますか?
当法人は2001年に設立され、3年ほど前に日本経営さんのコンサルティングを受けました。その際、人事評価制度を根本から再構築したのですが、それまでの評価制度は、職員間の360度評価。上司・部下・同僚の各々が相互評価し、賞与の支給額に反映させてきました。360度評価とあわせて上司と部下の面談も行っていましたが、評価すること自体に時間を取られていた感が否めませんでした。評価に時間を割くのではなく、もっと重要なことがあるのではないか。そこで思い切って制度を刷新したのです。
現在運用している新しい評価制度は、「リフレクション面談による目標の進捗確認」と「人事評価ナビゲーターでの行動評価」の2本柱です。
「リフレクション面談」というのは、設定した目標に向かってうまく進捗しているかどうか、上司が面談を通して確認・アドバイスするものです。賞与には反映されませんし、中身も仕事の目標に限定していません。もっと大きな、人生における目標についての進捗を確認するものです。「5年後にパン屋さんを開きたい」でもいいのです。面談する上司の力量がかなり問われます。
一方の「人事評価ナビゲーターでの行動評価」では、年に一度、法人の理念に沿った行動ができているかを評価します。この結果は昇給・昇格の際に活用しています。
人事評価結果の活用方法として、賞与や昇給に反映させるという手段が多く取られますが、そこには反映させないことにしたのですね。
それまでの360度評価は、長らく運用するうちに、お互いに対する評価やコメントが固定化してしまった感がありました。評価に対して本人の行動が変わっていない。もしくは、本人の変化を周囲が気づいていない。また、評価結果を賞与に反映させると言っても、法人の業績は職員の努力うんぬんよりも、介護報酬などによって大きく影響を受けます。賞与によるモチベーションアップというのは、難しかったのです。
新しい制度がうまく機能しているかどうかは、いまはまだ分かりません。ただ、人事評価制度の目的は、本人のモチベーションアップと成長にあります。上司が部下の成長に関わらなければならないという意識は明らかに育ち始めていると思います。職員からの反応も好感触だと思っています。
評価制度を刷新したことで組織の意識が変わったという点が、大変興味深いです。ところで、行動評価は人事評価ナビゲーターで実施しているとのことですが、具体的にはどのように運用されているのでしょうか?
当法人の場合、パソコンは各ユニットに1台、スマホは4台支給されています。ユニットあたり職員数は10名程度なので、端末が不足するということもなく運用できています。以前は、360度評価を紙で行っていました。一人あたり十数人分を紙で評価し、それらを集め、不適切な表現があればそれを差し戻して書き直しをしてもらうなどしていたので、文字通り忙殺されていました。
それに比べて、現在は行動評価が人事評価ナビゲーターで集計されて一覧で見られますので、大変に効率化されています。未完了アラートで人事評価の未実施者を確認できるようになり、サポートセンターの業務も楽になりました。
当法人では本人にも評価結果の閲覧権限を与えていますので、自分につけられた評価のランクやそのコメントを見ることができます。評価結果に限らず、事業運営においては、良いものも悪いものも事実は隠さず開示する「透明性」を大切にしています。
評価結果にいつでもアクセスできるようになったことで、それぞれの不便さや非効率さはかなり削減されました。もっとも、人事評価ナビゲーターの機能をフルに使いこなすのはこれからになりますし、評価結果を昇格以外にも配置転換など人事・組織戦略に生かしていくなどのことは、まだまだ工夫の余地があると思っています。
他法人様では、人事評価ナビゲーターのメモ機能を使って、施設長や上司が毎週のように職員についての記録を残し、評価の際の資料にされているケースもあります。
それは素晴らしいですね。職員一人ひとりを毎日見ていないと、できないことです。ぜひ、参考にさせて頂きたいです。当法人の場合、人事評価ナビゲーターは行動評価のみで活用していますので、少しイレギュラーな活用の仕方かもしれません。しかし、そもそも行動評価は職員をランク分けすることが目的ではなく、全員が満点になるように目指していくべきものです。全員満点を目指して、組織風土や経営理念をどう共有していくか。人の入れ替わりや、職員同士の関係性がある中で、これは凄く難しいことだと思っています。
人材や組織に対するトップの思いが深く、私たちは大変に恵まれているなと感じています。理事長自ら理念やマインドを直接語りかける場がありますし、現場の行動は幹部の考え方がダイレクトに反映されてくるものなので、幹部研修にもかなり力を入れています。
理事長が常に口にしていることが、「本音で本質を語ろう」ということと、「ほかと同じことをするな」ということです。報酬改定や労働市場の変化、働き方改革など、環境は常に変化しています。私たちの戦略も常に見直して新しいものを取り入れていいくことはもちろんですが、その一方で、「本質は同じ、ぶれない」ということだと思っています。
人事評価の2本柱をもとに人事評価ナビゲーターの機能をフル活用し、一人ひとりの成長の軌跡が残るような運用をしていきたいと思います。また、仲間と理念を共有し、その理念に沿った行動を認め合える組織。一人ひとりの人生を実現できる、そんな組織作りにこれからも挑戦していきたいと思います。
(取材日)2019/7/8